んび入院日記(2000年9月)

この入院日記は、私にとっての初めての入院生活と手術の記録です。「とんび」といっても本物のとんびじゃないよ。(笑)
他人には、あまりおもしろくない日記でしょうが、興味のある人は読んでください。


書き
初めて人間ドックを受診したのが、今から9年前で、そのときはまったく異常なしでした。
その2〜3年後の人間ドックで、エコー検査により、初めて胆石の疑いありと診断され、精密検査を受けることなった。
CTスキャンによる精密検査の結果は、「やっぱり胆石だね」と宣告されました。
「とりあえず痛みもないようだし、手術をしないなら、定期検診で様子を見ようか」ということで、以降の人間ドックでは必ず、胆石症と診断されています。(残念ながら、自然に消えてなくなることはなかった(笑))
年々石も順調に太り(?)、ついに手術ということで、今回県立S病院で手術することになりました。
胆石症の手術は、胆のうそのものを切除するそうです。(知らなかった。(笑))
胆のうは、胆汁を一時的にためておくだけの器官なので、なくても支障ないそうです。(本当かな?)
私は入院するとすれば、交通事故かアウトドアスポーツか、いずれにしろ骨折あたりで、入院するのかと思っていたのに、病気で入院・手術とは、自分でも意外でした。

院まで
手術のやり方について説明を受ける。手術方法は、おへその上と下、脇腹の3〜4ヶ所に2〜3cmの穴をあけ、お腹に空気を送り込みお腹を膨らませながら、その穴からカメラを入れ、カメラで見ながら胆のうを切り取るそうです。カメラで取れない場合は、大きく切開しなければならず、その場合、入院日数も伸びることを覚悟しなさいという説明でした。できれば早く、退院して仕事にも早く復帰できるとよいのだが。
9月19日に入院、9月25日に手術という日程が決まってからも、入院前の検査ということで何度か病院に行く。
検査は「CT検査」「レントゲン検査」「エコー検査」「血液検査」「尿検査」などなど。

院から術まで
9月19日(火)〜1日目〜
午前9時30分に病院へ行き、受付をすませ、病棟へ行く。病棟の看護室(看護婦さんの詰所)へ行き、名前を名乗ると、前の患者さんの退院がちょっと遅れているので、少し待って欲しいと言われ、1時間位本を読み時間をつぶす。
ようやく、ベットが空き、案内された部屋は462号室という6人部屋。
手術前日まで、この部屋で過ごしながら、各種検査を受ける。
今日は抗生物質のアレルギー反応を調べる目的で、かわいい注射を2本受ける。(かわいい注射でも痛いことは変わりなし(笑))
ひととおり、支度してきたつもりだったが、忘れ物やあると便利なものをいくつか思いだし、外出許可をもらい、一旦家に帰る。
食事は、残念ながらというか、想像どおりというかうまくない。
もっとも、入院中は運動不足になるのに、食事がうまいと全部食べて太ってしまうので、かえって「まずい」方が好都合か。(笑)
夜は9時消灯と早いので、なかなか寝付かれない。日頃、日付が変わらないと寝ない私にとっては、あまりにも早すぎる時間だ。
[今日のオリンピック]
柔道男子81kg級で滝本が金メダル獲得。ソフトボール女子が優勝候補NO1のアメリカを2対1で破る殊勲。

9月20日(水)〜2日目〜
今日は検査のために、朝の6時から24時間分の尿をためる。何のための検査かはよく分からない。
朝の回診のときに、足のつけね(というか大事なところのすぐとなり)の動脈から採血する。
その後、午前中にもう1回、今度は腕から採血する。
となりの患者さんが、今日手術の日ということで、別室へ移動し、代わりの患者さんが入院する。
携帯電話が使えず不便だが、公衆電話で電子メールは使えるので、時々メールをチェックしたり、HPの掲示板はチェックできるので便利。
とにかく、1日が長い。パソコンで仕事をしたり、HPのページを増やしたり、テレビでシドニーオリンピックを見たり、寝たりして時間をつぶす。
それと、運動不足になるので、用事がなくてもできるだけ病院の中を歩き回る。
[今日のオリンピック]
今日の日本勢はメダルなし。サッカー予選リーグ注目のブラジル戦は0−1で負けたましたが、南アフリカもスロバキアに2−1で負けたため、ブラジルとともに決勝トーナメントに進出決定。(

9月21日(木)〜3日目〜
入院生活も3日目を迎え、病院での生活サイクルにも慣れてきた。午前中は特に検査もなし。
何せ運動不足になりがちなので、用事がなくても病院内を歩き回るようにする(これって、不良患者かな?)。
ただし、午前中は外来患者が多く、知り合いに会いそうなので、なるべく午後に院内散歩する。
今日のお昼の食事はおいしかったのだが、ちょうどよいダイエットの機会ととらえ、少し残すことにする。調理員の皆さんには、ちょっと申し訳ないですが。
手術の時間が25日11時と決まる。
病院では意外に知り合いに会ってしまうものですね。知り合いの病院関係者はともかく、家族・親戚のお見舞いに来たという知り合いに1日1人の割で会ってしまう。(笑)
1人容態が危険な患者さんがいるということで、病棟は1日中忙しそうだ。看護婦はA・Bチームに分かれているが、そんな事情もあって受け持ちではない方のチームの看護婦がやって来る。
[今日のオリンピック]
男子柔道100kg級で井上康生が、オール1本勝ちという圧倒的な強さで金メダルを獲得。女子ソフトボールも延長戦の末にカナダを破り、予選リーグ5連勝とメダルを確定させる。

9月22日(金)〜4日目〜
今日も朝7時前に救急車がやってくる。1日に何回もやって来るのでカウントはしていないが、1日10回以上は来るのではないか。
10時前に麻酔科の先生がきて、手術予定を説明する。予定が少し早まって、25日10時30分開始との説明を受ける。
その後、家族の者(妻)と一緒に主治医のK先生から、手術のやり方について看護室で説明を受ける。最近、医療ミスが話題になっているせいか、図解を交えた説明で非常に分かりやすい。
カメラで覗きながらの手術は、腹腔鏡下胆のう摘出手術(内視鏡手術)というそうで、長所としては@体力の回復が早く、社会復帰が早い Aキズが小さい、短所としては@技術的にやや難しい A胆のうが炎症を起こしていたりして他の臓器と癒着してるような場合はダメで、その場合は開腹手術となる。
腹腔鏡手術を予定していても、他臓器の癒着、出血などの理由により、開腹手術に切り替えなければならない場合が10%位あるそうです。
現在の胆のう切除の手術は、90%が腹腔鏡手術だそうですが、炎症を起こしていたりして、胆のうが傷んでいるような場合は、最初から開腹手術を行う場合もあるそうです。もっとも、10年位前までは、全て開腹手術だったわけで、開腹手術だからといって恐れることはないですが、やっぱり入院期間は短いにこしたことはないですよね。
胆のうを切り取った後の管の傷口は、チタンでできたクリップで止め、そのクリップは一生お腹に入れたままになるそうだ。(石持ち→金(属)持ちになるわけだ(笑))
また、胆石だけ取り除いても、胆石症の体質の人はすぐに再発しやすく、将来再び手術が必要になるため、胆のう自体を切除するとの説明を受ける。
手術承諾書にサインして、病室に戻る。
その後、手術室の担当看護婦がやってきて、ビデオと説明書きで手術室に入ってからの手順等の説明をする。
外泊の許可がおりたので、夕方帰宅して、手術前日の24日(日)の朝に病院に戻ることにする。
今日の食事は朝も昼もおいしかった。
散歩がてら屋上に上り、写真を撮る。病棟は6階建てなので、見晴らしはとってもよい。今日は薄曇りでいまいちなので、天気の良い日に、もう一度写真を撮ろう。
それにしても、今日は朝から偏頭痛で調子がよろしくない。時々起こるこの偏頭痛は何とかならないものか。
[今日のオリンピック]
男子柔道100kg超級の篠原は、絶対に勝っていたぞ。へぼ審判のため銀メダルになったけど、本当は金だ。オリンピックであんなことが起きるなんて信じられない。女子柔道78kg級で山下まゆみ、女子200m背泳ぎで中尾美樹がそれぞれ銅メダル獲得。

9月23日(土)〜5日目〜
今日は自宅で静養(?)する。当たり前のことですが、やっぱり、自宅の方がくつろげる。
[今日のオリンピック]
女子400mメドレーリレーで、日本チーム(中村、田中、大西、源)は銅メダル獲得。背泳ぎ中村の不調を全員でカバーした見事な銅メダルでした。特にバタフライ大西、フリースタイル源は頑張りました。サッカーは惜しくもアメリカにPK戦の末敗退。女子ビーチバレーは、準決勝で負け、3位決定戦へ。

9月24日(日)〜6日目〜
午前10時に病院へ戻る。明日はいよいよ手術だ。看護婦から手術後の身体の動かし方、うがいのやり方、呼吸法、ネブライザー(吸入器)の使い方を習う。ネブライザーで薬を吸入するが、どうもむせてしまう。その後、前処置(いわゆる毛剃り)をするが、おへその下をちょっと剃るだけで終わる。くすぐったいのにはまいってしまうが、思ったより剃る部分が少なくてすんだ。もっとも、手術部位によって、当然剃る面積もちがうのだろうが、私の場合はすぐに前処置は終わった(笑)。それと、おへそも消毒したのですが、これまたくすぐったい。

夕食後は、固形物はとれない。飲用の下剤(液剤)を飲んで、後は寝るだけ。
[今日のオリンピック]
女子マラソンで高橋尚子が金メダル。マラソン女王にふさわしい完勝でした。市橋有里は途中でばて、山口衛里は途中転倒し、リズムに乗れませんでした。

術から退院まで

9月25日(月)〜1日目〜
いよいよ手術の当日です。昨日の下剤に加え、今朝は浣腸を受ける。(子供の頃は、受けたかもしれないが、それを除けばたぶん生涯初体験です。)これで、お腹はきれいになったので、黒い胆のうを切除してしまえば、腹黒い丸岡は返上できるかな(?)。
8時半頃に点滴を始め、鼻から胃まで細いチューブを入れる。チューブを入れる際、胃カメラを飲んだときと同じでかなりむせるし、無意識のうちに涙がでる。9時過ぎにお尻に筋肉注射を打ち、9時40分にストレッチャー(移動式の担架のようなもの)で2階の手術室へ移動する。時間が少し早かったため、手術室の廊下で待っていると知り合いの看護婦がやってくる。昔話をしているうちに時間となり、手術室へ移動し、手術台へ移る。手術室はひんやりとしていて、電気毛布をかけてくれる。血圧計を腕にまき、心電図のシールを胸に貼る。背中に注射を2本(?)打ち、痛み止めのチューブを背中に入れる。酸素マスクがあてられ、深呼吸するように言われ、続いて麻酔に入りますと言われてからすぐに記憶がなくなる。(麻酔は点滴から入れたらしい。)
手術時間は1時間30分で終了する。胆石は胆のうにびっしり詰まっていたそうだ(フィルムケースに2/3位)。胆石とはいうものの、コレステロールでできているため茶色い粘土のようである。術後の家族への説明では、胆のう摘出は問題なかったが、胆石を取り出す際にへその下の開腹部に多少キズがついて、化膿するかもしれないのでそれだけが少し心配とのことだった。
(本人はあまり記憶にないが、というより意識朦朧としていたので)12時30分に麻酔が覚めて、病室に戻る。2時間酸素吸入を行う。
14:20 「あつい」といって、手足を出す。おでこを冷やす。
16:00 主治医がきて、鼻のチューブを抜く。(これで、かなり楽になる。)
17:00 体温37.7度、全身がけだるい。脇にアイスノンをはさみ、おでこを冷やす。
発熱と寝返りがうてないため、一晩中ほとんど眠れない。
[今日のオリンピック]
ソフトボール女子は決勝戦に進出が決定し、銀メダル以上確定。女子ビーチバレーは惜しくも3位決定戦に敗れ、メダルを逃す。

9月26日(火)〜2日目〜
朝の回診で、心電図、血圧計がはずされる。
水分も摂ってもよいとの指示がでる。点滴は午前中に2本打てば抜いてもよいとの説明を受ける。
昼食には冷や麦がだされたが、3割位しか食べられない。食欲がわかない。
昼食後、点滴の注射針と尿カテーテル(麻酔中に尿管に通しておいた管)をはずす。
残っているのは、背中の痛み止めのチューブとお腹のチューブだけになった。
尿管がとれたし、歩いてもいいよと許可が出たので、トイレに立つ。身体を動かすとキズが痛むので、ゆっくり・ゆっくり身体を動かす。立ち上がるとふらふらする。(貧血と同じ感覚だ!)
しかし、腹筋は要の筋肉のため、身体を動かそうとするとキズに響くのがよく分かる。
[今日のオリンピック]
ソフトボール女子決勝戦で延長戦の末、惜しくもアメリカには負けたものの堂々の銀メダル獲得。シンクロナイズドスイミングでは、立花・武田組が銀メダル獲得。

9月27日(水)〜3日目〜
朝の回診で、背中の細いチューブとお腹に入っていたチューブ(こっちの方はこんなのが入っていたのと思うような太さと長さがあった。〜全然知りませんでした(笑)〜
これで、点滴針やチューブ類は全部はずれて身軽になった。明日退院してもよいとの許可がおりる。
あいかわらず、食欲はなく、半分位しか食べられない。
ベットから上半身を起こしたり、下りたり、歩いたりする動作も、昨日よりずいぶん楽になる。ただし、腹筋に力が入らないようにしないと、キズ口が痛む。
昨日まで37度台だった体温も36度台に下がり、その面でもかなり楽になった。しかし、動いた後や食事の後は、発汗と発熱がある。
この入院日記も今日から執筆再開だ。起きあがってしばらくすると、肩がこるというより痛くなってくる。寝たきりだったために、血流が悪くなっているのだろうか、かなりつらい。ももの筋肉も見て分かるほど落ちている。寝たきり生活が、こんなに身体に影響を与えるとは驚きだ。
[今日のオリンピック]
野球は3位決定戦で韓国に3対1で惜しくも破れ、メダル獲得ならず。

9月28日(木)〜4日目〜
いよいよ退院の日だ。相変わらず起きあがると肩が痛い。朝食後、回診を受けて、退院の準備のため荷物をまとめる。
食生活の面では、しばらく脂っこいものと刺激物は避けるようにとアドバイスを受ける。会計を済ませ、めでたく退院となる。
入院診療費は約60万円で、自己負担額が約13万円でした。

と書き

退院後もなかなか食欲fがわかず、食後の胸やけも続く。肩こりも相変わらずだ。
リハビリをかねて、退院翌日にちょっと散歩するが、とっても地球のの重力を感じてしまいました。(笑)
あまり無理せず、徐々にペースを上げることにしよう。
最後に、心配をかけた職場の皆さんと、手術後付き添ってくれた妻に感謝しつつ、この入院日記を終わることにします。
できれば、2回目の入院日記を書かずにすむことを願っています(笑)。
退院2週間後から本格的なリハビリを開始したが、思った以上に筋力が落ちておりショックでした。

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